↑ぼくの歯
ちっちぇ〜!
次ー
×月×日  晴れ                                         のぞき?
ぼくが水遊びが好きなことはこの間の日記に書いたけど、どうせなら狭い洗面台じゃなくて
お風呂場とかの広いところで思いっきりバシャバシャやりたいんだ。
でも、おかーさんがそれだけはやめてくれっていうから我慢してる。
それにお風呂だともしかしてザブンと落っこちてまだ泳げないぼくが溺れておかーさんを
悲しませてもいけないし。これでもけっこうおかーさんに心配かけないようにしてるんだよ。
でも、夜お風呂場からバシャバシャ景気のいい音が聞こえてくると我慢できなくなる。
ぼくもおかーさんと一緒に水遊びがしたくてお風呂場のガラスの戸をトントン、開けてと
叩いてみるんだけど、おかーさんも水遊びに夢中なのか気が付いてくれないことが多い。
だからトントンで駄目なら、次は体当たり!
ドンっ!ってね。でもおかーさんは「だ〜めだよ、がんちゃん」って言うだけでやっぱり入れて
くれないから、そういう時は奥の手を出すんだよ。
あのね、ガラスに鼻と手のムニュムニュを押し付けて「みょ〜ん」とひと鳴きすれば
おかーさんも「あらあら、がんちゃん。がんちゃんの鼻もムニュムニュも可愛いわぁ〜」って
開けてくれるんだ。でも中には入れてくれないから入り口で座ってジっと我慢するのはいっしょ
なんだけどさ。
昨日もそうやっておねーちゃんがお風呂に入っているときにやってたの。
そうしたらおねーちゃんがドアを開けて
「おかーさん!がんちゃんがお風呂のぞいてるぅ!」だって。
失礼しちゃうな。のぞきだなんて。
ぼくだって紳士の端くれだよ。のぞきなんかしないよ。
それにと゜うせのぞくんなら、マリリンさんやみーすけさんみたいな豊満な、じゃなくって、
ナイスな猫ならのぞくかもしれないけどさ。
×月×日  晴れ                                         台風一家
昨日は台風とかで大変だったみたい。風がビュービュー吹いて雨もたくさん降るって
おかーさんがなぜか嬉しそうに僕に教えてくれた。
ベランダも片付けて、買い物も早めに行って
「よ〜し、これで準備万端」とおかーさんもおねーちゃんたちもソワソワしてたよ。
ぼくはといえばこのごろお気に入りの洗面台のボールの中に入ってちょっと昼寝。
あそこはヒンヤリと冷たいし、あの丸い形が気に入ってるんだ。
それとね、洗面台の周りについているヘンな棒みたいなのをカリカリやったり、
猫パンチして遊んでいるとお水が出てきて、これがまた楽しいんだ。
おかーさんたちに見つかると「コラァ〜」と怒られて無理やり押さえつけられてタオルで
ゴシゴシされちゃうけど、昨日はおかーさんたちは台風のことで頭が一杯でぼくが
カリカリやっているのに気づかなかったみたい。
いい気になって水遊びしてたら、鏡の回りも床もびしょびしょになっちゃった。
でもいつもみたいに怒られないからいいのかなと思って、頭からしっぽまで
ズブ濡れになっていっぱい遊んだよ。楽しかったぁ〜
水遊びにも飽きたし、お気に入りの洗面台も濡れているので降りておかーさんの
そばに行ったら皆でこんな話をしてた。
「ねぇねぇ、なんか凄い雨の音するね。いよいよ降ってきたかな」
「そうみたいだねぇ。たまにはこうして雨が降るのを眺めるのもいいよね」
「それにしても雨粒のわりには音がすごいねぇ」
「うん、ここ一階だから音がよく聞こえるんだよ」
「こんな日にがんちゃんを外に出したら思う存分水遊びできて、
ついでにシャンプーもできるね」
       ・
       ・
       ・
あのぉ・・・すいません。
洗面所が凄いことになってるんですけど・・・。ぼくもこんなびしょ濡れでどなたか拭いて
いただけませんか?今聞こえてる音は雨の音ではないような気がするんですけど。
それと、ぼく水は出せるけど止められないので、できたら早く水を止めて欲しいんですけど。
あの・・あの・・・とにかく早く止めて!

そのあとのここの家族の様子がどんなだったか、ぼくには書けません。
台風はここをよけてどこか遠くに行ったけど、それ以上に凄い嵐がこの家の中で吹き荒れた
ことだけは間違いないみたいです。
×月×日  晴れ                                        歯が抜けた
今日、夏休みでゴロゴロしていた二番目のおねーちゃんが突然
「なにこれっ!」と叫んで白くて小さなものを指でつまんで見せた。
この家の人たちはグータラグータラしているくせに、突然大きな声を出してぼくをおどろかすんだ。
で、なんだったかというと、それはぼくの歯。
猫も人間と同じで歯が抜け替わるという話をこの間獣医さんのところで聞いていたおかーさんは

「がんちゃ〜んの歯が、歯が抜けたぁ〜」と嬉しいんだか驚いたんだか分からない声を上げて
早速写真に撮っていた。
そんなに珍しくもないだろうにと思ったけど
皆して「がんちゃん、少し大人になったのねぇ」とかわるがわる抱っこしてくれて
「そうか・・・ぼくも少し大人になったんだ」と
ちょっとだけ嬉しく思ったぼくなのでした。
×月××日 晴れ                                        おかーさん
ぼくの名前は「頑之介」
みんなは「がんちゃん」と呼ぶ。
この家に来た日に一番上のおねーちゃんがつけてくれた。

ぼくはときどきこうして窓にすわって空を見る。
離れてくらすママやパパのことを思い出すときもあれば
なんかおいしいモノ食べたいなぁ、と考えているときもある。

おかーさんはいつもぼくに言う。
「あぁ〜、がんちゃんもワンコみたいに外に一緒に行ければいいのに」って。
どうやらぼくを連れて出て「ホラホラ、可愛いでしょぉ〜」と猫ばかぶりを発揮したいらしい。

さすがのおかーさんもぼくを連れて買い物に行ったり散歩に行ったり
ましてや友達のところへ連れて行くことは諦めたと思っていた・・・。
ところが、諦める変わりに「ホラ、がんちゃん。こっち向いて! これ食べて!」っと
なにやらやたらうるさくなり、パシャパシャと写真を撮られたかと思ったら
一人でパソコンに向かって「キャ〜かわいいっ!」と叫びだした。

おねーちゃんに聞いたら「今度はがんちゃんのHPを作るらしいよ」だって。

あ〜ぁ、親バカもここまでくると手がつけられないね。

そんなわけでおかーさんが一生懸命やっているので少しは協力してるつもりだけど
仕事のほうは大丈夫?と少し心配しているぼくなのでした。