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×月×日 ぼくの兄弟(?) |
このあいだおかーさんがおねーちゃん2号の学校へ行ったときのこと。 学校の近くにあるペット・ショップにぼくとおんなじ日に生まれたアメリカンな猫がいたんだっ て。ぼくにソックリだったらしい。 そのペット・ショップの端っこのゲージに入れられて・・・要するに新しい家族が見つからない まま、半年以上そこで暮らしてるんだ。台所でいつものように「なんかくれないかなぁ・・・」と 思いながらおかーさんとおねーちゃん3号の話を聞いていたらペット・ショップでいつまでも 新しい家族とめぐり合えない猫や犬は保健所というところに連れて行かれるんだって。 保健所ってどんなところなんだろう・・・・。 おねーちゃん3号がぼくを抱っこして「がんちゃん、よかったねぇ。この家に来て。あの猫は これからどうなっちゃうんだろうね」と言ったけどぼくにもわかんない。 ただ、おかーさんの話し方でその保健所というところに連れて行かれた猫や犬たちがあん まり幸せでないことは確からしい。 ぼくおんなじ日に生まれたそのアメリカンなやつは、まだそのお店にいるのかな。 あまり大きくなっちゃうと喜ばれないらしいということも少しづつだけどわかってきた。 そんなことないのにな。可愛がって大切にしてもらえたらぼくたち猫族はいくらだって家族 と仲良くなれるのに・・・・・。 もし、このままずっとヤツが・・・と思うととてつもなく悲しくなってくる。だって偶然とはいえ ぼくとおんなじ日に生まれたのに、ぼくはここでこうしてお腹一杯食べられて「がんちゃん がんちゃん」って猫っかわいがりされて、ヤツは生まれてからず〜っとゲージの中。 あぁ・・・誰かヤツを可愛がってくれる人に会えるといいなぁ・・・・・・・。 |
×月×日 心のふるさと |
アメリカでテロ事件があったそうだ。 おかーさんに聞いたら戦争みたいでとても怖いことだって。大きなビルが二つも壊されて、 他にも大切な建物が壊されたり、飛行機が落ちたりで沢山の人がまだその壊れたビルの 中にいるんだって。 ぼくにとってアメリカは遠いふるさと。行った事はないし生まれたのは日本だけどさ。 その事件ではきっと猫や犬やネズミたちも沢山被害にあったんだろうなと思うと、ぬくぬく と、鰹節をもらって暮らしているぼくなんかとっても幸せなんだろうなと思う。 のんきに覗きなんかやってる場合じゃないなってね。 でも、そうは思ってもおかーさんがお風呂に入っているとウズウズしちゃうし、誰かが 台所にいると「なんか貰えるかなぁ・・」なんて思っちゃうんだよね。 被害にあった沢山の人や動物たちのことを思いながら、この家で幸せに暮らすことが 僕に出来る精一杯のことかな。そうだよね。うん、きっとそうだ。 さてと・・、ではおかーさんにおねだりしてこようかな・・・・・ |
×月×日 知らぬが仏って・・・ |
このあいだ久しぶりに病院へ行った。 いつもは物置にしまってある僕専用の籠を出してきたと思ったら「じゃぁ、がんちゃん。 頑張ってね」とか「そうかぁ・・・がんちゃんもいよいよかぁ」とかおねーちゃん達がやけに 猫なで声で話しかけるんだ。この籠に入れられるときは病院へ行く日って決まってるから どうしてだろうって考えてしまった。どこもケガしてないし熱もないのにさ。 病院へ行ったらどうも先生もいつもより優しいし、体重なんか珍しくしっかり量られちゃって 「おぉ、ガンノスケ君。大分増えたねぇ」なんて言ってる。ここへ初めて来たときは確か780g だったのが今日は3750g。我ながら大きくなったもんだ。なんて思ってたら アレレ?おかーさん僕を置いて帰っちゃった。「じゃ〜ね、がんちゃん。しっかりね」って。 ナニをしっかり頑張ればいいんだろう・・・って考えているうちに看護婦さんが来て・・・。 気がついた時にはなんか体はフラフラしてやたら眠いし、お尻の周りが痛い・・・。 一体ナニがあったんだろう。訳わかんないうちにおかーさんとおねーちゃん2号が来て 僕を連れて帰ってくれたけど、その後のこともよく覚えていないんだ。 カリカリを3粒くらい食べて、あとはモーレツに眠くてまた寝ちゃったよ。 こういうのを「記憶にございません」って言うのかな。 夜おかーさんがいつもより多めに鰹節をくれたのは嬉しいけど、なんかおかしいんだよね。 体が少し軽くなったような気がするし、泣きたくないのについ甘え鳴きしたくなっちゃう。 でも鳴くと皆が「ホレホレ」って鰹節タップリくれるからいいんだけどさ。 でも、尻尾を持ち上げてお尻をのぞいたり「ハニーちゃん」なんて呼ぶのはやめて欲しい。 僕には頑之介という男らしい名前があるんだからさ!! |
×月×日 猫だから? |
最近ぼくは思うときがある。 どうしてこの家の人たちはみんなしてぼくを猫っかわいがりするんだろうって。 ぼくが思うにおとーさんは男同士の仲間として(なんせこの家にはぼくが来るまで 男はおとーさんしかいなかったのだから)、一番上のおねーちゃんは弟が欲しくて、 二番目のおねーちゃんは意味もなく僕ら猫族が好きで、三番目は弟か妹が欲しくて、 そしておかーさんは・・・なんだろう。おねーちゃんたちも大きくなっちゃってかまう 子供がいなくなって寂しかったのかな。 なんにしてもぼくのような猫はこの家にとって「待ってました!」とばかりいいオモチャ のような存在らしい。 おかーさんがこの間マリリン姐さんのお父さんから「猫っかわいがりだからなぁ」と 言われて、「いーんだもんねぇ。がんちゃんは猫だから、猫っかわいがりでいいの!」 なんて変な理屈こねてたけど、もしぼくが犬だったら犬っかわいがりするのかな。 ま、どっちにしてもぼくはこうして毎日可愛がってもらえて満足だからいいんだけど。 時々「うるさいなぁ。静かに寝させてよ」と思うときもあって、そんなときは猫パンチして やるんだけど、それすらここの家族にとっては喜びらしいから、救いようがないのかな。 |